今年の冬も寒かった。

東京でも雪がちらつき、曇天の下で肩をすくめて歩いた日も少なくない。手先の感覚がなくなった人も多いだろう。

マフラーに顔をうずめ、ポケットのカイロを握りしめていた。

しかしもう、寒さに震えることはない。そう、春が来たからだ。

北風が頬を刺してきた次の日には、柔らかな春風が肌をなでる。

いつしかコートは重いだけの布になり、汗すらにじむようになった。

春は有無を言わさず、人を春にするのを強要する。アンニュイな心はまだ朗らかな雰囲気に追いついていないのに。

そんな中でも時は止まることはない。冬の心を引きずったまま迎える新年度ほど重苦しいものはないだろう。軽やかな春の雰囲気に取り残された心はさらに重く感じられる。

そんな時こそ大切なのは、心を切り替えて、新しい日々に臨むこと。


珈琲が、体と心の目を覚ます。

朝、目が覚めて、体はすっきりしているけど、どこか気持ちが重い。

誰でも経験したことのある感覚だと思うが、こういう日はどこか上の空になってしまう。

仕事は捗らず、少し悲観的になる。

そして負のスパイラルから抜け出すことが出来ず、心はどんどん沈んでいく。

特にこれからの春の時期、環境の変わり目を迎えたときに感じる方は多いのではないだろうか。

ここから抜け出す術は皆それぞれ持っていると思うが、今回は一つおすすめの方法を紹介したい。

それは「珈琲」である。

普段から飲んでいる方も、珈琲で気持ちのリセットになる効果を実感出来ていない方もいると思うが、騙されたと思って読み進めてみて欲しい。

珈琲が、体も心も目覚めさせる。

珈琲を知る。

珈琲とは、ご存知の通り、煎って挽いた豆から抽出した飲み物である。

しかし、その実態はもっともっと奥深く、繊細なものであるのだ。

珈琲は「苦み」だけでなく、「酸味」、「コク」、さらには「香り」までもが味の要素として存在し、全ての要素の複合によって珈琲の味は決まる。

これが俗にいうフレーバーというものだ。

ところで、花粉症の筆者は、春の時期は「香り」を鈍くしか感じられないために、珈琲の味が全然変わってしまう。

いつも飲んでいる珈琲が、全く別のものに感じられる。

読者の皆様も、一回鼻をつまんで珈琲を飲んでみて欲しい。驚くほどの違いを感じることができるはずだ。

ここで伝えたいことは、珈琲においては「香り」が決定的に大切になってくるということである。

味のカギとなるのは「香り」である。

そしてこの「香り」が今回重要になってくる。

目を覚ますのは。珈琲に含まれるカフェインである。

しかし、心の目を覚ますのは、この「香り」なのだ。

香りを知る。

「香り」は、人の気持ちを揺さぶり、遠い記憶を呼び覚ます。

科学的に嗅覚は、脳内の感情や記憶を処理する中枢と近い場所で処理されることが分かっており、感情と最も近い感覚だ。

だからこそ、「香り」は心の目を覚ますのに有効なのだ。

そして珈琲の「香り」には、「気持ちを整える効果」があることが分かっている。リラックス効果・集中力の向上が期待できるという。

これこそが、コーヒーの香りが心の目を覚ますことの裏付けである。

鼻腔をくすぐる芳しい「香り」が、必然的に気持ちを整えてゆく。

いざ、目覚めの時。

偏に「香り」といっても、どんなコーヒーでもいいわけではない。

缶コーヒーや、コーヒーショップで提供される珈琲では堪能できない「香り」を楽しむ方法がある。

それは「自分で珈琲を淹れる」ことだ。

出来上がった珈琲の「香り」が素晴らしいことに加え、珈琲粉のパッケージを開けたときの深い苦みの「香り」、お湯に触れた瞬間に一瞬で膨らむ「香り」など、淹れるプロセスで感じる「香り」の豊潤さに驚くことだろう。

そして、自分で淹れることで、フレーバーも、そして「香り」も自分好みにアレンジすることができる。

部屋中に広がる珈琲の「香り」が安らぎの空間を演出する。

沈んでいた心も徐々に目を覚まし、心にもちゃんと春が訪れる。ようやく気持ちが季節に追いつく。

では、最後に、自分で珈琲を淹れる方法を紹介して締めとしたい。

王道であり、かつ手軽な方法、それは「ペーパードリップ」である。

ペーパードリップは一式の器具(ドリッパー・ペーパーフィルター・サーバー・計量スプーン)と珈琲粉を揃えれば、すぐに楽しむことができる。

器具は安いものであれば、全て合わせて2,000円~3,000円程度で購入できる。

また、珈琲粉もSTARBUCKSやKALDIなど、なじみのお店で簡単に手に入る。店頭で豆を選び、店員さんに「ペーパードリップ用でお願いします」と一声かければ完了だ。

ほんの少しの行動で、いつも通りの日々が特別なものに変わる。

冬から春への変わり目の今、気持ちも朗らかにするために珈琲を始めてみたらいかがだろうか。

これから迎える新しい日々を、実り豊かなものにするために。

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