東京という地は祭りのように人が多くて、

打ち上げ花火のようにキラキラしています。

こんな眩しい世界でも一歩裏路地に入ればほころびを発見する。

その一つが廃墟です。

新宿、渋谷、原宿、池袋のようなキラキラした街と、

古腐って劣化した廃墟の対照的な姿に、

私はいつも惚れ惚れとしています。

神楽坂。

名店が立ち並ぶ通りです。

フラッと入ったお店に芸能人がいることも珍しくありません。

まさに東京の名所の一つ。

そんな神楽坂をブラブラ歩いていると、狭い路地がいくつもあります。

季節は冬、1月のことです。

一つの路地に入っていくと見えてきたのは廃墟でした。

廃墟マニアの私はつい見入ってしまい写真までとっていました。

路地は狭く、家全体がツタで覆われています。

なかなか遠目で写真を撮ることはできませんでした。

近づいてみるとこんなものを発見しました。

メニュー表?のようなもの。

なるほど、ここは昔カフェか何かだったのか。

そう思って写真をとっていると中からカップルが出てきたのです。

あれ、廃墟じゃないの?

すかさずカップルに聞いてみました。

「すみません、ここって廃墟とかじゃないんですか?」

すると男性が回答。

「ここカフェですよ(笑)」

一歩下がって他の窓から覗いてみると、

中であかりが灯っているのです。

なんのアテもなく歩いていて見つけた廃墟がカフェだった。

こんな心踊ることはありません。

私はとりあえず中に入ってみることにしました。

中は2階構造になっていて、おばあちゃんが一人で経営していました。

魔女のようなオーラを放ったおばあちゃんです。

「上です」

案内されるがままに2階へ上がると、なんとそこには、

ネコちゃんがいました。

どうやら看板ネコちゃんのようです。

何と言っても可愛いすぎます。

しかもこの猫ちゃん、とても人懐っこいのです。

私が上がるや否や、他のお客さんそっちのけで私に付きっきりです。

他のお客さんごめんなさい。

でも可愛いのです。

ネコちゃんにメロメロすぎて注文を忘れていました。

パッと目についたコーヒーと饅頭を注文しました。

2階の空間には1月の寒さを凌げるほどの窓はなく、ビュンビュン風が入ってきます。

代わりに大きなコタツとストーブがあるのですが、やはり寒いです。

そんな寒い空間の中、店内の様子はすごく和やかでした。

「どこからお越しなんですか?」

「私は昨日福島から来たんです。」

最初はぎこちないながらも他のお客さんとの会話が弾む。

私以外に2組のお客さんがいましたが、

みんなで大きなコタツを囲って団欒していました。

ネコちゃんが暖かい空間を作り出しているかのよう。

お話をしているとおばあちゃんが上がってきて注文したものを届けてくれました。

話に夢中になりすぎて完全に忘れていました。

甘いものと苦いものはどうしてここまでマッチするのでしょう。

溢れんばかりの小豆を乗せたお饅頭は甘いけど甘すぎない。

温かいコーヒーは冷えた身体に染み渡ります。

2階に窓がないのはこのためではないかと思うほどに幸せな気持ちになりました。

知らない人と同じコタツに入りコーヒー片手に、ネコちゃんを中心に談笑する。

眩しいほどにキラキラしていて、瞬きをする間も無く波が過ぎ去る東京の真ん中で、

とてもゆっくりとした時間を過ごすことができました。

ちなみにここのお店、マンヂウカフェ「ムギマル2(mugimaru2)」というお店です。

路地入ったところにあり、少しわかりにくい場所にあります。

お越しの際はお気をつけください。

おすすめの記事