ピアスを開けた。

高校生の時だった。

広島にはヤンキーが多い。

隣街にはヤクザの事務所がある、

なんて噂がされるくらいには不良が多かった。

当時の私はそれをかっこいいと思っていた。

情けない。

不良の多い高校に通っていた。

ピアス、派手髪、香水、バイト。

禁止されたらやりたくなる。

少年のまま育った高校生の溜まり場。

可愛がってくれた先輩が、

とんでもない過ちを犯してしまったことを聞いたときはショックだった。

それでも「遂にやったか」くらいだった。

スポーツは強かった。

全国に出る部活も多かった。

不良とスポーツとインキャ。

私の高校を説明するにはこれだけで十分。

勉強する者などほとんどいない。

大学も指定校推薦でいく連中ばかり。

そんな高校で育った私の憧れは曲がっていた。

学校帰りにマックに寄った。

いつものように友達と騒ぐ。

その時は「大人になったら」という話をしていた。

人に迷惑をかけてばかりの私たちが大人になんてなれるのかな。

出かけた言葉を何度も飲み込んだ。

それでも多分このままではいけないことはみんなが感じていた。

「早く大人になりたい。」

その想いは私の中でどんどん強くなった。

どうしたら早く大人になれるのかな。

大人ってどうやったらなれるのかな。

世間を何も知らない不良かぶれの高校生は考える。

気づいたらピアスを開けていた。

早く大人になれる気がした。

育った環境もあまり良くなかったのかもしれない。

私が知っている周りの大人はみんなピアスが空いていた。

少なからずそれに憧れていたのだと思う。

数年経って気づく。

そんなことでは大人にはなれない。

大人になるって何なんだろう。

20歳を超えれば大人?

仕事を始めれば大人?

年齢確認されなくなれば大人?

大学に進学してもそんなことを考えていた。

社会人になった今。

あの頃の友達は警察官になった。

もう一人は公務員になった。

私は商社で働いている。

少しは大人になれているだろうか。

たくさんゲームをするし、たくさん漫画を読むし、ハンバーグが大好きだ。

それでも、高校生の自分を見たらこういうだろう。

「まだまだ子供だな」って。

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